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ジークアクス最終話でシャア専用グフ・ヅダ・ビグロ・ビグザム・ガルバルディα・サザビーが登場もアムロ白いガンダムに負けた理由【考察】

2025年に放送されたオリジナルアニメ『ジークアクス』最終話(第12話)において、突如として登場した“シャア専用機”たち──シャア専用グフ、シャア専用ヅダ、シャア専用ビグロ、シャア専用ビグザム、シャア専用ガルバルディα、そして山下いくと氏がデザインを手がけたサザビー。

この“シャア専用機”のオンパレードは、単なるパロディやファンサービスにとどまるものではありません。むしろ『ジークアクス』という作品が通底して描いてきた、「過去の亡霊とどう向き合うのか」あるいは「歴史の再演からどう脱却するか」といった主題を象徴する、極めて重要な演出であったと考えています。

今回はこれらの機体とアムロに敗北した理由を考察します。


目次

存在しなかったはずのシャア専用機たち

まず、一瞬だけ映ったシャアが敗北していったIF世界の赤い機体を見ていきましょう。

シャア専用グフ

本来はランバ・ラルが搭乗していた機体です。シャアがグフに乗るとしたら、ザクからのステップアップとしては自然な流れに思えますが、実際の宇宙世紀では実現しませんでした。ここで描かれた“赤いグフ”というインパクトあるビジュアルは、ラルの役割とシャアの立場が交錯する「もしも」の世界を示唆しています。

シャア専用ヅダ

ザクとの開発競争に敗れたという悲運の背景を持つ機体です。もしシャアがヅダに乗ったとすれば、それは“勝者の歴史”を改変した世界線の存在を意味します。このIF世界のシャアは、敗者の美学を体現したもう一人の自分だったのかもしれません。

シャア専用ビグロ/ビグザム

艦隊戦用の巨大MAであり、機動性や洗練されたフォルムよりも、火力と威圧感を重視した機体です。シャアがこれらに搭乗する姿は、彼のイメージとは異なる印象を与えますが、逆にそれゆえに「戦局を一撃で決めるカリスマ指導者」としての別の進路を暗示しているように思えます。

シャア専用ガルバルディα

『Zガンダム』や『0083』で登場する本機ですが、シャアが搭乗することはありませんでした。現実主義的な戦力配備のなかで、派手さを排した“実務型シャア”を感じさせるこの選択には、むしろ渋みのあるIFの魅力が感じられます。

サザビー(山下いくとデザイン)

『逆襲のシャア』に登場したサザビーを、山下いくと氏が新たにデザインし直した機体です。その生物的で有機的なフォルムは、シャアの内に秘められた理想主義と終末願望を、より濃密に、より感覚的に表現しています。

これらはすべて、「シャア」という存在の、もう一つの可能性を示した姿であり、並行世界の断片にほかなりません。アムロが違う未来を選んだ世界、ザビ家が存在しない世界、ニュータイプという概念が神格化されなかった世界――それらと同じく、シャアがこれらの機体に乗った世界線も、“あり得た未来”として提示されていたのです。


シャアの世界線が示す未来

最終話に登場した“シャア専用機”群は、すべて「本編では選ばれなかった選択肢」の集合体であり、数々のifの結晶でもあります。それらの全てが「シャア」という象徴的な存在に収束していたことは、あまりにも象徴的です。

そして、最終決戦の果てに、彼らの姿は静かに消えていきました。それはまさに、『ジークアクス』が描いてきた「過去の呪縛からの解放」を体現する、最も重く、最も静謐な瞬間だったと言えるでしょう。


各シャア専用機が白いガンダムに敗れた理由

作中では、これらの機体は「すでに白いガンダムに敗れた」存在であることが暗示されています。

つまり、敗北した後の姿として現れており、その経緯や理由は視聴者の想像に委ねられています。以下では、そうした“敗北の理由”を論理的に考察してみたいと思います。


● シャア専用グフ

敗北理由:性能差と過信

本来は格闘戦に特化した機体であり、接近戦に賭けたシャアの戦術は、ビームライフルとバズーカを駆使する白いガンダムに対して分が悪かったのでしょう。距離を詰める前に撃破された、もしくは学習型AIに行動を先読みされ、反撃を受けて敗れたと推察されます。


● シャア専用ヅダ

敗北理由:自壊的な過信

高速機動型のヅダは、推進系統に不安定さを抱えていました。シャアはその特性を活かし、重力下の機動戦でガンダムに挑もうとしたのかもしれませんが、過負荷によって機体が自爆。結果としてガンダムにまともに戦うことすらできず、悲しい敗北を迎えた可能性があります。


● シャア専用ビグロ

敗北理由:接近戦主体ゆえの不利

高い突撃性能を持つビグロですが、武装が近距離に偏っていることが仇となったのでしょう。ガンダムはその機動性と索敵能力によって、ビグロの突撃を事前に察知し、距離を取って戦ったと考えられます。結果、反撃の機会を与えられないまま撃墜されたと推察されます。


● シャア専用ビグザム

敗北理由:巨体ゆえの鈍重さ

重装甲・高火力を誇るビグザムも、俊敏なガンダムにとっては「動く標的」に過ぎなかったのかもしれません。ビームによる遠距離攻撃で脚部関節を破壊された後、斜め上からの奇襲によってコクピットを貫かれ、力尽きたという展開が想像されます。


● シャア専用ガルバルディα

敗北理由:器用貧乏による限界

堅実な中量級MSであるガルバルディαを用いたシャアは、おそらく現実的な戦術で戦局を制そうとしたのでしょう。しかし、白いガンダムの高性能なAI補助とパイロットの技術により、すべての動きが先読みされてしまい、応戦すら叶わず敗北したと考えられます。


● サザビー(山下いくとデザイン)

敗北理由:理想の重さに潰された

精神波兵器や共感型兵装を備えたこのサザビーは、シャアが「思想で戦争を終わらせる」ための存在だったと読み解けます。しかし白いガンダムは、言葉も思想も通じない“現実の具現”として振る舞い、理想と対話を試みるサザビーをビームサーベルで静かに貫いた――そのような結末が想像されます。


おわりに

これらの敗北は、どれも「異なるシャア」がたどった、それぞれの“ifの歴史”です。『ジークアクス』はそれらをあえて集約させ、ひとつの真理として突きつけてきました。

どの機体に乗っても、どんな思想を抱えていても、結局シャアは白いガンダムに敗れてしまう――
それは、伝説の再演であり、記号の終焉であり、そして何より、「過去とどう向き合うか」というこの物語の核心そのものだったのです。


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