「君たちはどう生きるか」は主人公の眞人が母親の死をきっかけに疎開した先で謎の青サギと出会い不思議な世界に足を踏み入れていくストーリーですが、事前情報がほとんどなく宣伝がポスターのみだったことで話題となりました。いざ公開されるとシーンについて考察も多く見られ、ネット上でも様々な感想が見られました。
今回の記事では主人公の眞人が自傷行為をしたのかや最初に見た石の墓について、母が残した石段の思い出について書いていきます。


牧眞人の自傷なぜ?石で殴った理由
君たちはどう生きるか
— アルミ缶ぴこ (@arumiblog) April 28, 2025
が公開された時、実は迷いインコを拾って一緒に過ごしていて
しばらくして飼い主が見つかって、返した後だったんだよね
だからインコのこと思い出して、ちょっと泣けた
人馴れしてて、肩に乗ってくれるめっちゃ可愛いインコだった pic.twitter.com/Jsq6fyMOyu
牧眞人は本作の主人公で第二次世界大戦の真っ只中に父親と共に疎開して東京を出ることになります。疎開先となったのは、父親の再婚相手である夏子の屋敷でした。
眞人は疎開先で新しい学校に通いますが、父親が学校まで送ったりなどをしたため目立ってしまいます。そして上手く馴染むこともできず、ある日の帰り道で同級生たちにいじめられたことを隠すために自分の頭を石で打ち大出血させてしまうのです。
このことについて終盤で大叔父に「僕の悪意のしるしです」と言っています。眞人が自傷行為をした理由として考えられるのは大きな傷を負えば父親が心配し、上手く馴染めない学校にも行かなくていいという思いがあったのだと思います。
そして、学校のこともありますがいきなり母親となった夏子の存在があると考えられます。夏子とは子どもの頃に会ったことがあるそうですが、その後はほとんど会っていません。なのに父親は眞人より夏子を優先していたところもあったので、気持ちを共有できる父親に裏切られたという気持ちの表れでもあると思います。
石の墓とは
作中で眞人が海の世界(生と死の世界)でペリカンに襲われ墓所に入ってしまいます。その墓所には墓の門である黄金の門があり「ワレヲ學ブ者ハ死ス」と書かれていました。
眞人がこの門を開けようとするとキリコから「墓の主が起きる」と言われますが、果たして墓の主とは誰なのでしょうか。作中でも具体的な人物について語られていないので、推測になるのですが特定の誰かということではなく「死」という概念だと思われます。
というのも門に書かれていた文字は中国の芸術家である斉白石が残した「学我者生 似我者死」に似ています。この言葉の意味は「我に似せる者は生き、我を象る者は死す」で、学んだことに創造を加える者は成長し、真似ただけの者は死ぬということです。
そして海の世界では死という概念がなく争いごとも起きない平和な世界です。亡くなったはずのヒサコも生きているし、大叔父もまだ生きているので生と死が曖昧な感じとなっています。なので、石の墓とは死という概念を封じているところなのだと思います。
石の意味
金曜よる9⃣時
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 27, 2025
宮﨑駿監督・スタジオジブリ最新作
『君たちはどう生きるか』
ノーカットで初放送!🦜
母を失った少年・眞人は、
疎開先の屋敷で出会った謎の青サギに導かれ、
もうひとつの世界に迷い込みます…。
様々な人と出会い、
やがて世界の秘密を知ることに。 pic.twitter.com/EUeHx0DEIO
君たちはどう生きるかで石は重要な要素として出てきますが、世界を創造するものとして登場します。
印象的なのは13個の石で、大叔父が眞人に「13個の穢れていない石がある。3日に1つずつ積み上げて世界の均衡を維持する自分の役目を引き継いで欲しい」と言うシーンがあります。この13個にも意味が込められており、今まで宮崎駿監督がこれまで描いてきた短編も含む13作品なのではと思われています。
作中ではインコ大王によって大叔父が積み上げた石は崩されていまい、そのことがきっかけで大叔父が作り出していた世界は崩れていきます。眞人が大叔父に「この石が、この海の世界をつくったのですか」と聞いていることからも、異世界は大叔父が作り出したものであり、穢れていない石ということから悪意のない世界を創っていたのです。
この石が崩されてしまうシーンには都合のいいフィクションばかりに目を向けるのではなく、厳しい現実でも自分で選択していくことの大切さのメッセージが込められていると思います。
石段の思い出とは
石段の思い出は眞人がナツコとの関係を修復させようと思ったきっかけでもあります。
眞人は母であるヒサコが残した小説「君たちはどう生きるか」を見つけ読みます。ここで登場する小説はで吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」であり、「石段の思い出」というエピソードも収録されています。
原作では主人公のコペルが親友との約束を破ってしまい関係を修復しようとする様子が描かれています。そんなコペルの様子を見た母親は女学校に通っていた頃の話をします。
それは湯島天神の石段の思い出で、石段を上る老婆が一息つくたびに声をかけようとするが結局最後まで声をかけられずに終わってしまったということでした。そのことについて母親は今も心の中にはっきりと残っているけれど、この苦い経験を忘れてはいけなくて何度も背中を押してくれると言います。
そして、今やらずに後悔しそうなコペルにおじから預かったノートを渡します。ノートには「人間の悩みと、過ちと。偉大さとについて」といったタイトルが書かれており、読んだコペルは気持ちの整理がついたようです。
まとめ
眞人が自傷行為をしたのかや最初に見た石の墓について、母が残した石段の思い出について書いてまとめてきました。本作は宮崎駿監督の集大成とも言われており、今までの作品のオマージュが出てきたりとジブリ作品が好きな人には楽しめる作品となっているでしょう。
ストーリーも見た人によって解釈や考察は違ってくると思われるので、5月2日に放送される金曜ロードショーでは色々と想像しながら見ると違った視点で気付きなどもあると思います。