今回はリゼロ3期、15年前の白鯨大征伐にて、テレシアの前にパンドラが現れたことについて解説していきます。


白鯨大征伐と王族誘拐事件
アニメでも説明されていましたが、まずはなぜテレシアが白鯨大征伐に行かなければいけなかったのかを振り返って解説します。
15年前『王弟フォルドの息女が誘拐された』という話があり、大捜索となるのですが当時のルグニカ王国近衛騎士団団長だったヴィルヘルム、誘拐事件の担当で行けませんでした。
そのタイミングで現れたのが白鯨だったんです。そして本当ならハインケルが率いていくはずがハインケルは行かず、代わりにテレシアを推薦したという話になっています。(本当かはわかっていません)
亜人戦争後、結婚してから剣を握らせなかったヴィルヘルム。
しかし、テレシアはついに剣を手に取ることに決めます。この時の年齢は40歳後半らしいです。
王族誘拐事件と王弟フォルド
アニメでは王弟フォルドという名前が出ませんでしたが、書籍ではちゃんと名前が出ています。せっかくなのでこの誘拐事件について紹介します。
そして、行方不明になった息女というのが十中八九フェルトです。現在15歳のフェルト。行方不明になったのは15年前です。
それが短編集4に書かれたシーン。
――小さい頃から何度も何度も見続けている夢がある。それは薄暗い部屋から始まる夢だ。「本当にいいんじゃな」「ああ、いいんだ。兄や妻が知れば反対されるのは目に見えているのでね」どうやら箱にいる自分を挟んで誰かと誰かが言葉を交わしているらしい。
「お主らには借りがあるそれが返せるのなら引き受けても構わん」「助かる。世話をかけるね」「儂のことなどどうでも良いわ。気に掛ける相手が違うじゃろうが」天井しか見えなかった箱の中、その人物が金髪で赤い瞳の持ち主なのはわかった。その人物がそっとこちらの体を抱き上げ取り上げる。
「ああ、温かい。それに重くなった。いつかこの腕じゃ足りないぐらい君が大きくなるときがくるんだろうなぁ」「あとのことは君に託すよ」
「人間なんぞに手を貸すとは、この儂も落ちぶれたものじゃな」自分を掌に乗せたその人物の顔と声が小さな赤子を嫌悪と軽蔑の眼差しで見ている。赤子心にそれがひどく癇に障った。
そのまま重々しい足音を立てて男が歩き出した。見慣れた部屋からも落ち着く男からも連れ去られる。嫌だった。お願いだから一緒にいてほしい。それなのに「――君を愛してる。ずっと、ずっとだ」そんな何の助けにもならない声だけが、男がくれた最後の一声だった。
確定はしていませんが、これが王弟フォルドとロム爺のやり取りで、フェルトを託したタイミングになると思われます。王族の証は金髪赤い瞳ですからね。
そして、実はこの誘拐事件ですが白鯨討伐とのタイミングも重なったことで、ハインケルが行ったのではないかと疑われていたんですね。しかし真相は違いました。そしてその後、王族は謎の病で全員死亡し、フェルトだけが生き残ることになりました。
白鯨大征伐
そして白鯨大征伐。テレシアとパンドラの時の文章をそのまま紹介します。
記憶が、吹き飛ぶ。砂嵐の中にいるように視界が乱れ、周囲の音も疎らで聞き取りづらくなっていた。誰かの怒号が悲鳴が、絶叫が聞こえる。討伐隊は白鯨を倒すために出陣した軍勢は壊滅状態に陥っていた。
周囲を濃い霧が取り巻いていて、どちらへ逃げればいいのか回目見当もつかない。
「――――」何が起きたのか、とっさに思い出せない。過酷を極める激戦だったが、戦況は討伐隊が優勢だったはずだ。白鯨を相手に一歩も引かず、一線を退いていた自分でも役に立つのだとそう考えた記憶はあって。
そこまで考えて違和感に気付いた。それは微かな、しかし絶大な違和感。「加護が……」『剣聖の加護』が感じなくなっていた。「ラインハルト!」瞬間自分の中にあった加護が誰に継承されたのか手に取るようにわかった。
その感覚はもしかしたら、剣聖へ憧れ続けたハインケルへの裏切りだったのかもしれないが――それを咎めるのも、その時間も残されてはいなかった。
「――あら、こんなところに女性が一人。ずいぶんと勇ましいのですね」
抜けなくなった龍剣を放り捨て足元の長剣を拾い、斬り掛かった。平時であればしない判断。しかしここは白鯨の霧が支配する死の世界、そこへ悠然と歩み出た少女など奇怪を通り越して危険でしかない。
「――あなたを理解したいのです」と次の瞬間、蠱惑的な声に鼓膜をくすぐられ、意識が闇へ落ちる。空から落ちるように水の中へ沈み込むように意識が下へ下へ。
何が起きたのかわからない。何が起きるのかわからない。ただ、孫の未来を息子の心を二人が繋ぐ花嫁を想う気持ちが駆け抜ける。
そして最後に「――ヴィルヘルム」愛しい男の名を呼んで意識は完全に消えてなくなった。次に目覚めた時には屍人としてヴィルヘルムに抱かれていたというわけです。
テレシアがどう感じていたのかがよくわかったと思います。ただ、直前の記憶を思い出せていなかったり、かなり不可思議な部分はあります。
テレシアの生死
まず、テレシアは白鯨に殺されたのではなかったということがわかりましたね。白鯨に殺されていたら記憶に残らないので、テレシアのことを覚えている時点でアニメ1期の時から犯人は別にいたと考えることができました。
そしてその犯人がパンドラだったわけです。
ただ、耳元で囁いただけで殺せたのかどうかは正直わかりませんけど、実際死んでいます。
ただ、作中のキャラたちは、未だにテレシアは白鯨に殺されたのだと誰もが思っています。
パンドラの権能
そしてパンドラの権能は事象を書き換えることですが、このタイミングで剣聖の加護がなくなったこと。
もしかするとパンドラがやった可能性だって有りえます。真実はわかりませんけどね。
もしそうだった場合はとんでもないです。
ここでテレシアが死ななければ、アストレア家はまだ良かったでしょう。どちらにせよハインケルに受け継がれてはいなかったと思いますけどね。
パンドラはなぜいたのか
ではなぜパンドラはここに来たのでしょうか。
明らかにテレシア狙いだったということだけは言えるのではないでしょうか。
「――あなたを理解したいのです」
何を理解したいのかと言えば、愛ですよね。パンドラは100年前のエリオール大森林でも似たようなことを言っていました。
パンドラの目的は誰にもわかりません。
剣聖の存在がテレシアでは都合が悪かったのか、もしくはラインハルトに継承させることが大事だったのか、それともアストレア家をおかしくさせたかったのか。色々考えられますけど、これだという考察が出てきません。アストレア家を壊したあとの愛を知りたい、ということもありえますけどね。

